iPhoneのメール通知オートメーション、Gmailではうまく動かない?【問題発生編】


前回の【調査編】では、Gmailの特定メールを受信した際に、iPhoneのメッセージアプリ(iMessage)で通知を受ける方法として、iPhoneの「ショートカット」アプリのオートメーション機能が使えることをご紹介しました。
ところが、いざ設定を始めようとした段階で、ある問題に気づきました。
Gmailをトリガーにすると、リアルタイムに通知が届かないのです。
設定前に立ちはだかった壁:GmailはPush通知に非対応?
オートメーションの構築自体は簡単です:
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「特定のメールを受信したら」
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「iMessageで通知を送る」
という手順をショートカットアプリで組めます。しかし、実際にはメールが届いた直後にオートメーションが発火しないという問題が起きました。
原因:iOSの「メール」アプリではGmailがフェッチのみ
iPhoneの「メール」アプリでGmailを使うと、受信方式は**Push(即時通知)ではなく、フェッチ(手動または15分ごと)**になります。
メールサービス別の通知方式(iOSメールアプリの場合):
サービス | 通知方式 |
---|---|
iCloud | Push ✅ |
Outlook/Hotmail | Push ✅ |
Gmail(IMAP) | フェッチ ❌ |
そのため、Gmailを標準メールアプリで受信しても、オートメーションのトリガーはリアルタイムに反応しません。
さらに、Gmail公式アプリの通知は即時ですが、ショートカットのトリガーとしては使えないため、構成上の矛盾が発生しました。
対策案:Push対応メールへ転送
Gmailそのものを使っていては、iPhoneのオートメーションを即時に発火させることができません。そこで、代替案として「Gmail → Push対応メールへの転送」という構成が現実的な選択肢になります。
対策案 | 内容 | 状況 |
---|---|---|
Gmail → iCloudメール転送 | Push対応だが、筆者は未使用だった | ✕ 採用せず |
Gmail → Outlook/Hotmail転送 | Push対応かつ筆者が既存利用中 | 〇 採用決定 |
Macで監視&通知 | 実現性高いが常時稼働が必要 | △ |
選択した構成:Gmail → Outlook/Hotmail → iPhoneでPush受信
筆者はiCloudメールを使っていなかったため、Push通知に対応しており、すでに使用していたOutlook(Hotmail)アカウントを使うことにしました。
構成は以下のようになります:
Gmail → Outlook転送の設定概要
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Gmailで「設定 > フィルタとブロック中のアドレス」を開く
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「新しいフィルタを作成」→ 差出人や件名で条件を指定
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「この条件に一致するメールを転送」→ Outlookのメールアドレスを入力
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Outlook側で認証リンクを受信し、Gmailで確認して有効化
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フィルタを保存して完了
次回【設定編】の予告
次の記事では、この構成に基づいて以下の設定手順を具体的に解説します:
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GmailフィルタとOutlook転送設定の詳細
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iPhoneのショートカットオートメーションの作り直し
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メッセージ内容のテンプレート化と応用設定
おわりに
今回のように、仕様の違い(Push vs フェッチ)によってオートメーションが期待通りに動かないことは、自動化を行う上でよくある落とし穴です。
ただし、代替手段としてOutlook(Hotmail)を経由することで、即時通知とメッセージアプリへの連携を同時に実現することができました。
次回はこの構成をベースに、実用的な通知システムの設定手順を具体的に紹介します。