GmailをトリガーにiPhoneのメッセージアプリで通知を受ける方法【調査編】


最近、カーシェアリングサービス「タイムズカー(旧:タイムズカーシェア)」に登録したのですが、その中でひとつ気になったことがありました。
キャンセル待ちや返却待ちの車両に対して、空きが出た際の通知はメールで届くのですが——メールだと気づくのが遅れがち。
せっかく空きが出ても、すぐに反応できずに他の人に取られてしまう、なんてことも。
「これ、SMSのようにスマホで即通知を受けられたら、もっと素早く反応できるのでは?」
そう考えたのが、今回の調査を始めたきっかけでした。
特定の送信者や件名のメールをすぐに知りたい──そんな場面は日常でも多々あります。たとえば次のようなケースです:
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サーバからのエラーメールを即知りたい
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家族や上司からの連絡を見逃したくない
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特定のサービスからの通知メールをSMSのように受け取りたい
こうしたニーズに対して、iPhoneのオートメーションでGmail受信をトリガーにしてiPhoneの「メッセージ」アプリで通知を受けるというアイデアにたどり着きました。
本記事はその「調査編」として、技術的にどういう方法があるのか、無料で実現するにはどうすればいいかをまとめた内容です。
目次
実現したいこと:Gmail→iPhoneメッセージアプリ
ここでいう「メッセージアプリ」とは、iOSに標準搭載されているアプリで、以下の通信が表示されるものです:
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SMS(電話番号宛のショートメッセージ)
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MMS(キャリアメールなど)
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iMessage(Apple IDや電話番号宛てのApple製通信)
このアプリに、Gmailで特定のメールを受け取った際、自動で通知が届くようにするのがゴールです。
調査結果①:メール→SMS通知の代表的手法
方法A:Gmail → キャリアメール(@docomo.ne.jp等)
日本の携帯キャリアでは、メールアドレスをSMSのように扱う機能が提供されています。たとえば以下のようなものです:
キャリア | アドレス例 |
---|---|
ドコモ | xxxxx@docomo.ne.jp |
au | xxxxx@ezweb.ne.jp、@au.com |
ソフトバンク | xxxxx@softbank.ne.jp |
Gmailからこれらにメールを送れば、SMS風にメッセージアプリに通知が届きます。
実際にはSMSではなくキャリアメールですが、通知の見た目や挙動はかなり似ています。
メリット:
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設定が簡単
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通知は即時
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完全無料
デメリット:
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キャリアメール契約が必要
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迷惑メールフィルタに引っかかる可能性がある
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長文は途中で切れることも
調査結果②:APIを使ったSMS送信(Twilioなど)
TwilioのようなSMS APIサービスを使えば、Gmailの受信をトリガーにして本物のSMSをiPhoneに送ることができます。
Gmailと連携するにはIFTTTやGoogle Apps Script、または自作スクリプトを使うことになります。
メリット:
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本物のSMS(キャリア関係なし)
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iPhoneのメッセージアプリに確実に届く
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条件付きで柔軟に送れる
デメリット:
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Twilioは有料(初回は$15の無料クレジットあり)
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電話番号登録やAPI設定の手間がある
調査結果③:Apple純正の仕組みでiMessageを送る
MacとiPhoneをiCloudで連携して、GmailトリガーでMacからiMessageを送信し、それをiPhoneで受け取るという方法です。
構成イメージ:
Gmail受信(特定条件) ↓ トリガー実行(Mac上で) ↓ Appleショートカット or AppleScript でiMessage送信 ↓ iPhoneのメッセージアプリで受信
この方法はApple純正の仕組みだけで構成できるうえ、iCloudで連携されていれば自宅LANにいなくても送信可能です。
必要な前提条件:
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MacとiPhoneが同じApple IDでログイン
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iCloud Drive、メッセージ、ショートカットの同期がON
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Macが常時起動・オンライン
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iMessageがMac上で送信可能な状態
調査結果④:iPhoneだけで完結してiMessageを送る
調査中にわかった重要なポイントとして、iPhoneの「ショートカット」アプリのオートメーション機能で、なんと「特定のメールを受信したときに、iMessageで通知を送信する」という動作をiPhone単体で構築できることが判明しました。
つまり、Macを使わなくても、Gmail連携されたiPhoneだけで完結可能ということです。
検証でわかったこと:
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メールアプリの自動化トリガーは「特定の送信者」「件名」「アカウント」で条件を指定可能
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「アクション」でiMessage送信や通知が選択できる
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簡単なステップで自動化が組める
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「実行前に尋ねる」をオフにすることで完全自動化できる
これにより、「無料」「OSSなし」「Apple製品のみ」で非常にスマートな通知自動化が実現できるとわかりました。
他の方法との比較
# | 方法 | 無料度 | 難易度 | 実現方法 | iPhone メッセージアプリ に届くか |
---|---|---|---|---|---|
1 | キャリアメール転送 | ◎ | ★ | Gmailから @docomo等に送信 |
◯(SMS風通知) |
2 | Twilio(SMS API) | △ 初回無料 |
★★★ | Gmail → API呼び出し |
◎(本物のSMS) |
3 | Mac + AppleScript + iCloud |
◎ | ★★★ | Mac側で ショートカット呼び出し |
◎(iMessage) |
4 | iPhoneの ショートカット +オートメーション |
◎ | ★★ | iPhoneだけで設定 | ◎(iMessage) |
今後の展望:設定編に向けて
次回「設定編」では、以下の流れで実際の構築手順を紹介する予定です:
- iPhoneのショートカットアプリでオートメーションを作成する手順
- メールの受信条件の設定方法
- iMessage送信のアクション作成
- 実行前に尋ねられないようにする方法
- 応用編(複数相手へ送信、通知内容のカスタマイズなど)
おわりに
今回の調査を通じて、最初は「Mac + iCloud + AppleScript + Gmail監視」など複雑な構成を想定していましたが、最終的にはiPhone単体でのオートメーション実行という、シンプルかつ最も現実的な解決法にたどり着きました。
次回の設定編では、実際のスクリーンショット付きで手順を紹介する予定です。どうぞお楽しみに!